にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

発達障害児の相談経路〜我が子の発達に疑問を持った時どこに相談するのか

我が子の発達について初めて心配した時に、はじめから相談機関を具体的に知っている方は少ないと思います。

そこで、今回は、我が子の発達障害に関する相談経路及び居住する自治体の相談機関等についてお話したいと思います。

長女は自閉症スペクトラム(ASD)、次女は注意欠陥多動性障害ADHD)と診断済みで、現在民間療育機関(児童デイサービス)を利用していますが、ここに至るまでの相談経路は次の通りです(詳細は過去記事参照)。

ninono0412.hatenablog.com 

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発達を初めて心配した時からの相談経路

①次女

3歳児健診→精神発達相談(保健センター)→児童精神科・言葉の教室→児童デイサービス(民間療育機関)・児童精神科での作業療法

②長女

精神発達相談(保健センター)→児童精神科→児童デイサービス(民間療育機関)・児童精神科での作業療法

*「児童デイサービス」は民間で運営されており、市の「児童発達支援事業」なので、役所で手続きをし「障害児通所支援受給者証」を発行して貰わないと通所することができない。その代わり、通所費用の一部が支給され利用者負担が少ない。

 私は、直感的に保健センターで何らかの相談をやっているだろうと考え、市のホームページで調べた結果、保健センターへ問い合わせ、「精神発達相談」(臨床心理士により発達検査をしてもらえます)を受けることになりました。

他の相談機関と比較はできませんが、次の相談機関(児童精神科・児童デイサービス等)への繋ぎとして良い選択だったと思います。

何故良かったかというと

 「精神発達相談」の担当臨床心理士が児童精神科への紹介状及び診療情報提供書を書いてくれたので、

  • 優先的に病院(児童精神科医)の予約がとれた(但し現在通院している病院ではない)。
  • 児童デイサービス(民間療育施設)の通所に必要な「障害児通所支援受給者証」を役所から発行して貰うには、病院の診断書、児童相談所での発達検査の判定結果等が必要であるところ、「精神発達相談」での相談歴があることにより、これらが不要となった。

全ての自治体に言えることではありませんが、保健センターへ相談すると、しかるべき相談機関への情報が得られ、また何らかの公的手続きをする際に各機関との連携により手続きがスムーズになる場合があるかもしれません。

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 参考になる資料を見つけたのでご紹介します。

「札幌における発達障がい早期支援体制の構築に向けた実態調査報告書」(以下「調査報告書」といいます。)

http://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/hattatu/documents/chousahoukokusho.pdf

これは「札幌市発達障がい社支援関係機関連絡会議 早期発見・早期支援部会」が発達に心配のある子どもの保護者約100名を対象に聞き取り調査を行った結果をまとめたものです。

以下、次女と長女のケースに近い報告を取り上げます。

相談初回が3歳健診心理相談の場合の相談経路(回答者総数30名のうちの6名)

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 略語の説明:

「3健心」→3歳児健診心理相談〜健診の際に発達の心配等を心理士等に相談できる

「精発」→精神発達相談(保健センター)

「児童」→「児童相談所」*発達医療センター等が併設

「幼・保」→幼稚園・保育園での子育て相談等

「児童デイ」→児童デイサービス(民間療育施設) 

「さっぽ」→(市の)相談療育支援事業さっぽ・子ども広場

〜保育士やセラピストといった専門のスタッフが、遊びを通じて未就園児の発達の支援、療育指導をする場(市の主催)

「幼教センター」→幼児教育センター〜幼児の発達相談・教育相談等を受けることができる市の施設

「PDD」→広汎性発達障害 

*図は上記調査報告書より引用    

 

  • 上記図では6名中、5名が診断を受けていることから、3歳児健診が発達に遅れのある幼児の相談の受け皿として機能していることが伺えます。
  • 人によって相談経路・相談機関は様々ですが、発達障がいは特性の出方や程度が様々ですし、保護者の考え方もそれぞれですから、当然かもしれません。
  • 上記に示されるように複数の相談機関があれば、相談が必要な時に相談を受けやすくなり、支援に繋がりやすと思います(これで充分とは言えないかもしれませんが)。

また、気になったのは1歳半の検診結果では異常が認められなかった子が半数いること。

「これまで問題は特になかったので大丈夫」という認識は危険、発達の問題を見過ごす可能性がある(自戒を込めて)。

ことを改めて感じました。

 

はじめて発達について心配した時の年齢が5歳の時の相談経路(回答者総数25名のうちの2名)

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*図は上記調査報告書より引用 、「AU」→自閉症

回答者総数25名のうち、「初めて発達について心配した年齢が5歳」だった子どもが2名だったのは、少ないような気もするし、当然の結果のような気もします。

長女も「精神発達相談」に相談したのは5歳の時ですが、たまたま次女の発達の遅れが気づきになったに過ぎず、次女に発達の遅れがなければ、長女の育てにくさを発達の遅れまたは凸凹に結びつけて考えることはなかったでしょう。。

「何故か育てにくい」と思うだけで、何も手立てができず、親子関係が破綻してしまったような気さえします(今後もそうならないとは言えませんが...)。

調査報告書では

気づきが4歳以降の5名中4名は、健診でも異常は明らかにならず、精神発達相談を利用した子どもが1名、のこりの3名は保育園幼稚園に通園後、相談につながっていった。

と書かれており、 長女もそうであったように、健診で異常が明らかにならない場合は、気づきが遅れざる得ないのかもしれません。

こういった場合は、子どもの通園先等から適切な相談機関へ導いて貰えるよう、幼稚園・保育園と公的機関及び相談機関等との連携が必要であると思います。

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我が子の発達を心配する時に、まず身近な人に相談することもあるでしょう。

私も、次女が言葉が遅め(というレベルではなかったけど)であることを気にして、ママ友等に話したこともありますが、その度に「そのうち喋るようになるよ〜」「言葉の発達は個人差があるからね」と言われた記憶があります。

でも、ママ友は子どもの発達について専門家でも何でもありません

発達に関する心配事は専門機関へ相談することで道は開けます。

上記図11ー2にある機関または施設は何れも何らかの形で、自治体が関わっています。

ここまでお話ししたことは、ある自治体(政令指定都市)の一例に過ぎず、各自治体の体制には地域差があることから、多くの方の参考にはならないことはお断りしますが、はじめは役所や保険センターへ問い合わせることで、相談機関に繋がり、我が子の相談及び支援先を探っていく方法に大きな問題はないと思います。

また、子どもの発達について知識が浅い人の意見に振り回されないこと、営利目的で活動している人または組織には慎重になること、これも大事だと思います。