にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

夫が初めてADHD治療薬コンサータを服薬した日

詳細は省きますが、どっちが良い悪いは置いといて私たち夫婦の関係は夫の発達凸凹を原因としてあまり上手くいってはいませんでした。

いろいろ話し合いを重ねたこともあったけれど、関係は改善されることはなく悪化するばかり。

 

最後の手段として夫は受診し知能検査等を受けた結果、コンサータの服薬を決断しました。

後から夫に聞きましたが、服薬をしなければ更に私との関係が悪化するし、効果がなければやめれば良いと考えていたそうです。

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大きな凸凹

夫が受けた検査は「WAIS-3」

WAIS™-III成人知能検査 | 検査詳細 | 心理検査 | 日本文化科学社

下位検査のうち特徴的な数値を表した項目がありました(下位検査項目の数値は、19 が満点、10 が標準値)。

 

「絵画完成」視覚刺激に素早く反応する力視覚的長期記憶力を調べる検査です。夫の数値は

この数値が夫の日常生活にどのような影響を及ぼしているかと言うと

  • 例えば「あの〇〇見て」と夫に言った時、見てもらいたい〇〇を夫が見つけることは対象物との距離が近くてもまずできない
  • 運転中、交通標識も大概認識できない
  • 高速道路で目的の出口を通り越すことがよくある
  • 運転中気づいたら対向車線を走っていたことがある
  • 目的までの道は数十回以上継続的に通えば覚えることができるかもしれない...
  • ナビがあっても目的地にたどり着くことができない時もある
  • 物を探し出すことが苦手 etc

「知識」(一般的な事実の能力)の得点も他項目と比べて低く、医師からは興味のないことは覚えない傾向があると説明されたそう。確かに夫の一般知識の乏しさに驚くことしょっちゅう。

「理解」(実際的知識を表現する力、過去の経験や既知の事実を正確に評価する力)は満点の19

 

また、医師からは「衝動性」が高いために、衝動的に物事を選択しがちなので失敗が多いのかもしれないと言われたそうです。

*夫と一緒に行動すると「何故そう考える!」「何故そういう行動にいきなり出るの!」と思うことが日常茶飯事です。

 

そして最終的に日常生活のクオリティを上げるためとしてコンサータの服用を勧められたそうです。 

ninono0412.hatenablog.com

*夫とコミュニケーションが取りにくいのは認知特性の相違からくるものかと思っていたけれど、そういう訳ではなかったらしい。

 

コンサータの効き目

初日から良く効きました。

夫が今までできなかったことでできるようになったことは次の通りです(夫談)。

  • 行動する前に事前準備ができる
  • 耳からの情報がもれなく入り、私との会話で「聞いたふり」がなくなった
  • 指さしやこそあど言葉、会話上等で相手が指示、対象とした事物が何かわかる
  • 何か行動を起こす時に選択肢が頭に浮かぶ
  • 文章を一回読んだだけで頭に入るようになり、読み返しする必要がなくなった
  • 衝動的にやりたいと思ったことについて私に反対されても怒りを感じずに引き下がることができる

 

この効き目に夫は驚愕し、自分がいかに不便な状態であったか実感したようです。

夫「服薬していない時は曇った眼鏡とヘッドフォンをしているようだ!

 

もちろん、私もいつもの夫との違いに驚きました。 

 

夫の謝罪

服薬した日の晩。夫が私に言いました。

「これまで、喧嘩はにのの(私)が半分、自分が半分悪いと思っていた。自分に凸凹の特性があるとはある程度自覚していたけれど、自分は自分と思っていたし、にののが言うほど凸凹だとは思っていなかった。

 でも、薬を飲んだ効果で今まで途中で頭から抜け落ちていた情報が脳に適切に届くようになり、今までできなかったことがすんなりできるようになって本当に驚いた。

 特に3の部分(知能検査「絵画完成」のこと)については自分がいかに知覚統合ができていなかったか自覚できてショックを受けている。

 結婚以来、本当に苦労をかけて申し訳なかったと思っている。本当にごめんね。」

 

私も結婚以来、夫の言動には本当に苦労したと思い出され泣けてきました。

正直、この状態だと最後まで夫と添い遂げることは難しいと考えていました。

もちろん、夫が発達凸凹であるという事実が耐えられないのではなく、原因はどうあれコミュニケーションが円滑にとれない相手と同居することにどういう意味があるのだろうと考えずにはいられなかったからです。

 

おわりに

 夫はこれまで特性からくる困り事について

「それが当たり前だったし、最終的にはなんとかなったので何とも思っていなかった」と言いますが、今後当たり前だったことが当たり前じゃなくなり、仮に服薬をやめたとしても、自分の言動について今までよりも客観的に見ることができるようになると思います。

 

また、今まで夫の特性のために夫との会話が円滑に進まず、相談おろか雑談・単純伝達もままならなかったところ、これからは改善されそうなので、私は再び夫を人生のパートナーとして一緒に生活を共にしようという気持ちが戻ってきました。

 

今まで本当に辛い思いもしたけれど、大きな決断をした夫に感謝したいと思います。

↓最近夫が買って読んでいた本