にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

夫に話が通じない原因〜目・耳からの情報の受取り方

以前、私たち夫婦の認知特性の違いからコミュニケーションが取りにくいといった話を書きました。

ninono0412.hatenablog.com

 ちなみに私たち夫婦の認知特性テストの結果は次のチャートの通りです。

(認知特性テストは次の書籍に掲載されていたものです〜医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)

★赤色が夫の結果、青色が私の結果です。

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★点数が14以下は弱い認知特性、15〜25は一般的で、26以上は強い認知特性です。

上記テストの結果では、私は視覚優位で聴覚劣位、夫は言語&聴覚優位で視覚劣位と出ました。

そのため、私は、それぞれの得意な認知方法を理解した上で、コミュニケーションを取る工夫をしようと考えました(詳しくは上記過去記事参照)。

その結果、どうだったか?

それで、上手くコミュニケーションを取れる時も多く、工夫の効果を感じる時もあります。

しかし、考えたような工夫だけでは解決ができないと感じることも多いです。

それでは、どこに問題があるのか?

それは次のことに関係があると考えています。

①同じ風景を見たときに、私の見える範囲と夫の見える範囲が異なり、夫には私より見えない範囲が多い。

②私が夫に話しかけた時に、夫が私の話に注意を傾けていたとしても、前半部分は聞き取れていない部分が多い。

つまり、私が、当然夫に見えている・聞こえていると思っていることが、実は夫には認知されていないことが非常に多いようなのです。

 

夫の見え方

ASD(自閉症スペクトラム)者は一般的に、視覚優位で聴覚が弱い傾向にあると言われています(勿論個人差があります)。

また、次のような特徴を持つ方もいるようです。

目が強くて細かいところまで見えてしまう→細かいところに気を取られる→全体の状況判断が苦手

【結果】優先順位を見誤る等の弊害が起こることも

 夫がASDであるかどうかは病院で診て貰ったことがないのでわかりませんが、ASDやADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性があるかどうかと問われれば、YESです。

そのため、夫も上記に書いたような見え方の特徴を持っているのかもしれません。

 

ところで、私が夫の見え方に違和感を感じるシチュエーションについてお話します。

夫は、私には信じ難いレベルで道を覚えることができません(反対に夫にすれば私が信じ難いレベルで道を覚えているようです)。

そのため夫が運転し、私が助手席に乗っている時は、私が道案内をすることが多いです。

けれども、私の道案内通り夫が運転できないことがよくあります。

例えば、私が「次の曲がり角を右に」と言ったとします。

夫はたいてい「次の曲がり角」を通過します(「次の曲がり角」が見えないから)。

私が「青看板の書いてある通りに、○○方面に曲がって」と言ったとして、

夫には青看板がどこにあるのかわかりません。

私にはありありと見えるものが夫には見えないのです。

そこで、写真を利用して夫に「運転中の前方の見え方」を確認しました。

★写真Aは私の見え方、写真Bは夫の見え方です。

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↑ 写真A

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↑ 写真B

 

夫の運転中、前方は写真Bのように見えるようです。

つまり、円形のクリアな範囲以外はよく見えない。

*見え方の範囲が狭くても運転に過集中しているので、安全運転ですし、特に大きな事故を起こしたこともありません。

見え方の範囲が狭いために、私が伝えたかった「次の曲がり角」も、かなり近くまで来ないと発見できないし、もちろん青看板も見えません。

ちなみに青看板や道路標識が見えないのは結構面倒です。

高速道路を走行中、目的のインターを通過し、やむなく次のインターまで何十キロと走り、特別転回させて貰うことも度々あります。

高速道路で降りる所を間違えた時は『特別転回』を活用しよう! - NAVER まとめ

 

私の道案内が夫に通じない原因をまとめると、次のようになります。

①安全運転を心がける余り、前方一部分に過度に気を取られ、結果、視野が狭い状態となっている。

②夫がシングルタスク(同時に複数の作業ができない特性)のため、運転に集中していたら、私の声を聞き取りにくい。

 

夫の聞こえ方について

夫は、シングルタスクや過集中になりやすい特性があるので、話を始める前にまず、夫に一声かけ、私に意識を向けて貰ってから、話を始めるようにしています。

しかし、私の目を見て話に集中しているようでも、言ったことが届いていないことが多いのです。

先日も、同じことを3回言って、3回目にようやく話が通じたことがありました。

夫に伝えた内容は「ごみを捨ててくれる?」といった簡単なものだったと思います。

1〜3回目までの、違いは次の通りです。

1回目→一声かけずに、私が話し始めたため、夫には私の声自体も聞こえていない。

2回目→夫は、私の方を見て話を聞いていたので、声は聞こえていたけど、内容がよくわからなかった。

3回目→何を言っているのか理解した。

夫曰く、2回目に私の言っている内容がわからなかった理由は、私の声が、ラジオでチューニングがあっていないような音に聞こえていたからだそうです。

つまり、夫は意識の切り替えが難しいので声を察知することが遅れる。

音を察知したとしても、聞こえる音にチューニングを合わせなければ言っている内容が理解できないようです。

 

ところで、人混みの中で少し離れたところから、夫に声をかけてもなかなか夫に振り向いて貰えず、困ることがしょっちゅうあります。

夫によると、いろんな音が聞こえる場所だと、いろんな音が混じりあうため、余計人の声が聞き取りにくくなるそうです。

 

おわりに

夫自身が自分の特性についてまるで自覚していないので、夫とコミュニケーションが取りにくい理由を気づくのに時間がかかりましたが、そもそも私とは見え方や聞こえ方が大きく違うようです。

私は、これまで、私の見えるものや聞こえるものは当然、夫の意識がそこに向いていれば、同じように認知できるものだと思っていましたが、大きな違いがあるんですね。

これを前提に今後、コミュニケーションを取るようにすれば、夫に伝えたいことが伝わらないもどかしさを感じることが減るのかもしれません。

 

ちなみに、夫に道案内が必要であれば、カーナビゲーション(以下「ナビ」と言います。)を使えば良いではないか。と思う方もいるかもしれません。

けれども、結局、夫は、ナビの音が聞き取りにくいため、ナビの音声は利用しておらず、もっぱらナビの画面を見て道を判断するそうです。

けれども、運転に過集中するとナビの存在を忘れてしまうそうなので、結果、ナビを使いこなすことができないようです。

1人で運転させると、びっくりするぐらい予定よりも到着時間が遅れるのはこのような原因があるからなんですね。

また、過去に車を購入した際、「ナビは絶対必要だ」と夫が言い張り、車にナビを設置しましたが、夫がそのナビを使いこなせていないことを知って、本当にびっくりです。