ADHDとASDの併存〜実行機能の障害からドッチボールでヘマをする
先日、帰宅した2年生長女が「学校であった悲しいこと」を話してくれました。
体育の授業でクラス対抗でドッチボールをした。
そのゲームでは、チーム全員が投球するとプラスポイントがつくというルールがあったのでチーム全員が投球しようというクラス内の取り決めがあった。
しかし、そのルールを長女はすっかり忘れていた。
そのため、自分がボールを取り投球しようとした時にチームメイトから別の子にボールを回すよう言われ、自分が投球したい気持ちがあったので頭が混乱し、ボールを持ったまましばらく立ち尽くした。
それに困ったチームメイトが長女のボールを取り、別の子に渡した。
ゲーム終了後、多くのクラスメイトが「相手チームに負けたのは長女のせいだ」と長女を責めた。
この出来事で気になる点は
(1)長女がプラスポイントがつくための取り決めを忘れたこと
(2)おそらくゲーム中、チーム全員にボールが回るようにボールを回す動きがあったと思うのですが、それにも気づいていなかったこと
(3)別の子に回すように言われた時に自分が投球したいという気持ちが勝っていたこと
(4)言われた意味がわからなくても、場の雰囲気を読んでとりあえず言われた通りにできなかったこと
といったところです。
(1)から(3)は「まぁしょうがない」と思えますが、(4)ができなかったのは長女にとって大きな困りごとであると感じました。
ASDとADHDの併存
長女は自閉症スペクトラム障害(以下「ASD」といいます。)の診断があります。
障害の程度は大きくなく、概ね無理なく通常学級で過ごすことができています。
けれども、今回の出来事のようにちょくちょく対人トラブルを起こします。
そのため、長女の主治医(児童精神科医)は時折ADHDの併存を指摘していました。
けれども、ADHDの診断がある次女に比べれば、長女のいわゆるADHD特性は生活に差し支えがあるとは思えず、障害と言えるのか疑問に思っていました。
けれども、今回の出来事を主治医に報告したところ、
「実行機能が上手く働かなかったんだね〜」と言われ、やっぱり長女はADHD特性で困っているんだと理解するに至りました。
実行機能の障害
ADHDの病態として、実行機能と報酬系という脳機能の低下が考えられているそうです。
実行機能の障害とは
- ルール・決まりを理解していない
- 過去の経験を生かせていない
- 未来(将来)を考えて計画できない
- やるべきことを記憶するのが苦手
- 活動に必要な記憶の保持ができない(ワーキングメモリ)
- 目標に向かって行動するようにプランができない
- 運動・衝動のコントロールがへた
報酬系の障害とは
参考:「ADHD・アスペルガー症候群 子育て実践対策集」司馬理英子
- 目的ある行動のための動機づけが困難
- 自分が楽しい、興味があることでないと動機づけがしにくい
ストラテラ
今回のことに限らず、この1ヵ月ほどいくつか対人トラブルを起こしていた長女。現在「ストラテラ」(ADHD治療薬)が処方されています。
主治医いわく、長女の場合緊急性がないので「インチュニブ」「コンサータ」「ストラテラ」の中から「ストラテラ」を選んだとのこと。
「ストラテラ」は飲み始めから徐々に量を増やし、3段階にかけて適切な服用量にします。
そのため、一般的に安定した効果が得られるまでには6〜8週間かかるそうです。
長女は服薬始めたばかりなので(約2週間)、効果はまだ出ていない状態です。
効果が出てきたらブログで報告しようと思います。
おわりに
このようにいろいろ心配事がある長女ですが、今回の出来事では成長したと思う側面もあります。
以前は「悲しいことがあった」と私に報告することはできなかったと思います。
悲しいことがあっても何故そういうことが起きたのか理解が及ばず、この状況について後から人に話すことはできませんでした。
しかし、今回は長女なりに、過去の出来事の整理をし、自分の何が良くなかったのかを考えることはできている様子です。
長女担当の言語療法士に今回の出来事を話すと
「相変わらず3歩進んで2歩下がるという感じですね!」
私「・・・・・(苦笑)」