にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

認知特性の違いから話が噛み合わない夫婦〜視覚優位な妻VS言語及び聴覚優位な夫

 ツイッターのフォロワーさんとの会話で、過去の記憶について話す時に、頭には何が浮かぶかという話をしたことがあります。

私は過去の記憶は、脳内で一枚の写真が浮かぶか、映像で再現されます。

当然、他人も同様に過去の記憶が脳内で映像によって再現されると思っていたところ、映像が浮かぶことはないと話す人もいて驚きました。

どうやら、人それぞれ物事を理解する方法は異なるらしく、これを解説した次の本(以下「本書」といいます。)を読みました。

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)

 

 

認知特性とは

認知特性には大きく分けて次のような3つのパターンがあり、さらに6つのパターンに分かれるそうです。

A 視覚優位者→「見た情報」を処理するのが得意

 ①写真のように二次元で思考するタイプ

 ②空間や時間軸を使って三次元で考えるタイプ

 

言語優位者「読んだ言葉」を処理するのが得意

 ③文字や文章を映像化してから思考するタイプ

 ④文字や文章を図式化してから思考するタイプ

 

C 聴覚優位者→「聞いた情報」処理するのが得意

 ⑤文字や文章を、耳から入れる音として情報処理するタイプ

 ⑥音色や音階といった、音楽的なイメージを脳に入力するタイプ

 

本書では、35の問いに答える認知特性テストがあり、自分が得意とする感覚を調べることができます。

視覚優位であろうと思われる私の認知特性テストの結果は...

やはり、予想通りの結果となりました。

  • 視覚→非常に強い認知特性
  • 言語→一般的な程度の認知特性
  • 聴覚→非常に弱い認知特性

実は、自分が聴覚認知に弱いことも薄々気づいていました。

何故かというと、中学生・高校生の頃、よほど得意な科目であったり、予習をしていない限り授業で内容を理解することは難しかったので、授業中、先生の話はあまり聞いていませんでした。

但し、板書はきっちりしていたので、自宅でノートと教科書、参考書を用いて復習をすれば、苦手な科目(数学等)でない限り、テストでは良い点数を取ることができました。

つまり、同じ内容の事柄でも、耳で聞く方法より、読む方法が頭に入りやすいのです。

 

認知特性の違う夫婦

本書の中に非常に気になる記述がありました。

夫婦が離婚する原因の一つに、「正確の不一致」があります。気が合わないのは、認知特性の違いも大きく影響しています。

夫婦の認知特性が違っていたとき、自分にはない相手の才能に惹かれますが、お互いの違いをよく理解しなければ、関係は長続きしないでしょう。

いつも、夫と話が噛み合わないと感じるのは、認知特性の違いに由来するかもしれない...。

早速夫にも本書の認知特性のテストをしてもらい、私と比べてみることにしました(次のレーダーチャートは本書より引用)。

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★点数が14以下は弱い認知特性、15〜25は一般的で、26以上は強い認知特性です。

 

私たち夫婦の認知特性が全く異なることが明らかになりました。

夫は、言語抽象タイプ及び聴覚言語タイプの特性が強く、視覚優位ではありません。

 

二人の優位性の違いに関係して、よく次のような事が起こります。

 例えば、家族でキャンプに出かけたとします。

キャンプ場についてから、まず最初にテントを設営する場所を決めます。

視覚優位な私は、空(天気)の様子、場内の混み具合、既に設営されているテントの様子、トイレの場所等、次々と視覚にインプットします。

そして、最適な設営場所について、視覚にインプットした情報を同時に処理し、導き出した結果を夫に提案します。

内心「見ればわかるでしょ。」

と言いたくなる気持ちを押さえ、夫にその理由を説明しますが、

私の説明したい事実は、視覚的には鮮明で具体的なものであったとしても、その関係性から導き出された結果を説明するのには、いくら私の頭の中で鮮明にイメージできたとしても、それを事細かに言葉で表現・説明するには限界があります。

しかし、それでは、言語優位者の夫には伝わりません。

そのため、私も夫も互いに意思疎通をはかれないことに、イライラするのです。

 

 

視覚優位者VS言語優位者=同時処理VS継時処理

心理教育アセスメントバッテリーKーABCという認知検査方法に由来する同時処理と継時処理という認知処理様式の考え方があります。

同時処理〜全体にちりばめられた多くの情報から、その関係性を自分なりに求め、処理方法も探索し、空間的・全体的に統合し処理する方法

 

継時処理〜情報を一つずつ時間的な順に、連続して処理する方法

岡南著「天才と発達障害」より

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)

 

 

認知の優位性と情報処理の方法は関連性があるそうです。

 視覚優位者は、感覚的思考者で、情報処理をする際には同時処理を行います。

一方、言語優位者は論理的思考者で、継時処理を得意とします。

感覚的思考者は主に右脳を優位に使っており、論理的思考者は言語機能をつかさどる左脳をよく使います。

この二つの認知特性は、いってみれば脳の左右のように対局している特性同士のため、互いにコミュニケーションを取るのは難しいものです。

本田真美著「医師のつくった「頭のよさ」てすと認知特性から見た6つのパターン」より

私は、全体を理解してから、物事に取り組む方法を好みます。

はじめに、全体をイメージし、最終地点に到達するまでに必要な作業や情報をそれぞれ関連づけると、効率的・合理的に作業が進みますし、その結果質の高いものが出来上がるからです。

典型的な同時処理型の人間なのかもしれません。

ですから、継時処理が得意な夫に、情報を時間的な順に沿って、言語で伝えられても、全体的なイメージが掴めず、自分が今何をしているか理解できないことから、能動的に作業に取り組むことができません。

また、いちいち細かいことを言語で説明されても、理解力の低い人間だと思われているようで不愉快に感じることさえあります。

そのため、つい「結論から先に言って欲しい」と夫に伝えると、夫もそれを不愉快に感じることもあるようです。

 

情報処理の方法(優位性が異なる)夫婦が、円滑なコミュニケーションを取るには、工夫が必要なようです。

 

 認知特性の違う夫婦がコミュニケーションを取る方法

 私は聴覚認知が致命的に弱いです。

言葉で事細かに説明されても、人より理解に時間がかかりますが、視覚的情報を処理するスピードは速く、一度経験したことは映像記憶として残りやすいという特性があるようです。

そのため、夫から私とコミュニケーションをとる場合、夫には次のような工夫をしてもらうことがあります。

  • 私が既知である物事、または経験済みの事柄を例えに出して説明する。
  • 新聞または雑誌の内容について話題にしたい時は、自分でその内容を説明せず、まず、その媒体を私に読ませる。
  • 結論からまず伝える。それから概要を説明し、理解できない部分が私にあれば、質問させる。

反対に、私から夫とコミュニケーションをとる時に気をつけることは

  • 時間的な順に沿って、物事を説明する。
  • 全てを理解して貰おうと思わない。
  • 主語を忘れずに話す(私は、脳内の映像イメージから話を始めることが多いため、つい既に脳裏に浮かんでいる主体を飛ばして、次の「動詞」や「形容詞」から話し始めることが多いため)。

 

以上にあげた工夫等を日常的にしている、とは言えませんが、どうしても夫に話が通じずイライラする時は、認知特性の違いに基づき、伝える方法を工夫できることは大きな進歩なのかな...と思います。

 

そう言えば、私は、認知特性の違いから、自分にはない夫の才能に惹かれたことがあるのかな...。