相談支援事業所のサービスと小学校での支援者会議〜「学校側は困っていない」それでいいのか?
今年3月に大学の発達心理相談室の先生から長女の小学校入学後、学校に慣れた段階で関係者を集め支援者会議をしようという提案がありました。
支援者会議の目的は「各関係者による長女の特性理解」。
各関係者の日程調整、招集及び会議の司会は相談支援事業所の担当者が行いました。
相談支援事業所のサービス
支援者会議の調整等について、相談支援事業所(以下「事業所」といいます。)の担当者が日程調整等を行ったのは次のような経緯があります。
(1) サービス利用計画案の作成
今年1月、事業所に長女の「サービス等利用計画案・障害児支援利用計画案(以下「計画案」といいます。)」の作成を依頼。
自宅で面談が行われました。
*長女は、4月から「放課後デイサービス」に通所するため、「障害児通所支援受給者証(以下「受給者証」といいます。)」の更新が必要でした(「児童デイサービス」に通所するために受給者証は取得済)。
翌月2月、計画案が完成し、事業所により区役所に提出され無事受給者証が更新されました。
(2)事業所による「サービス等利用計画・障害児支援利用計画」の作成。
次に事業所は、計画案に位置づけた各関係者・支援者を招集してサービス担当者会議を開催することが必要でした。
会議では、利用計画案の内容について説明を行うとともに、専門的な見地からの意見を求めたうえで、事業所が「サービス等利用計画・障害児支援利用計画」を作成します。
(3)サービス担当者会議
実は、今回の支援者会議は上記サービス担当者会議も兼ねていました。
(いずれ開かれる予定だったサービス担当者会議に合わせて学校関係者を招集できたのはラッキーでした。)
後述する支援者会議後、会議で話し合われた内容を元に「利用計画案」の一部を訂正し、長女の「サービス等利用計画・障害児支援利用計画」が作成されました。
参考:『サービス等利用計画作成(計画相談支援)及び 障害児支援利用計画作成(障害児相談支援)の概要』札幌市
http://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/jiritsushien/documents/0keikaku-gaiyou1.pdf
支援者会議〜「怒りんぼの先生」が意味するもの
支援者会議の参加者は次の通りです。
参加者:担任、教授(+大学院生2名)、相談支援事業所関係者3名、教頭、特別支援教育コーディネーター、放課後デイサービス担当者 合計10名
会議の主な流れは次の通りです。
(1)「これまでの長女の様子・特性について」〜放課後デイサービス担当者
(2)「学校での長女の様子について」〜長女の学級担任
(3)「長女の特性について」〜教授
(4)今後の長女の支援について(まとめ)
会議冒頭では、担任も特別支援教育コーディネーターも
「学校側は全く困っていない、もっと問題のある子はたくさんいる。反対に長女が何に困っているか教えて欲しい」と話しました。
既にサポートブックで長女の特性については伝えていますが、「授業中立ち歩く」「授業に参加しない」等の目立った様子がないので何を支援すればいいかわからないようです。
(確かに今の人員態勢では余裕がなく児童の困り感が表出し、必要にかられてからではないと支援できない難しさがあるとは思いますが)
そこで、私が学校側に長女についてわかってもらうために、思い切って(非情にも)長女が担任のことを「怒りんぼの先生」と話していたことを伝えました。
担任の先生はわかりやすくショックを受けていました。
今まで「怒りんぼの先生」と言われたことなどないのでしょう。
担任について「怒りんぼ」と話した長女ついて、教授はこのように説明しました。
【教授】
長女ちゃんは、自分の行動について振り返りができないので「できていないことについて注意された」ということしか残らない。
そのため「怒られた」という感覚だけが強烈に残る。
対応としては、考え方の回路を長女に作ってあげること。
「〜したらだめだよ」から話すのではなく、今している行動は基本的に許されているけれども、今はその行動をする場ではないということを気づかせてあげる。
例えば、授業中におしゃべりをしていたら「お友達と話したかっだんだね。」と一度は長女の気持ちを受け止めてあげる。
その後に「でも今は授業中だね。」と伝える。
長女ちゃんは、授業中におしゃべりをしていないことはわかっているからそういう伝え方で充分。
会議のまとめのなかで、学校側は「伝え方の工夫をしていきたい」と長女への配慮について前向きな答えをくれました。
支援者会議の意義
今回の会議で、各支援者同士が長女の特性について共通理解しつつ、それを学校側に伝えるという目的は達することができたように思います。
また、長女の各関係者の顔合わせの場ともなり、各関係者同士が連絡を取りやすくなりました。
今後も、必要があれば相談支援事業所が開催するサービス担当者会議を学校側を交えて開くことで、各関係者で長女の特性を共通理解し、かつ連絡を取りやすい関係を築いていきたいと思います。
「学校側は全く困っていない」
学校側が困っていなければ、それでいいのか。
目に見えた生徒の困り感が表出しなければ、支援は必要ないのか。
入学前には教育相談を3回程度行い、サポートブックも提出しました。
支援者会議を開いたとはいえ、「学校側は困っていない」という発言の意味することを思うと、学校側に伝えること・配慮を求めることの難しさを感じています。
けれども、これまで通常学級在籍の発達障害児のためにこのように多くの関係者が集まっての支援者会議は学校で例がなかったようで、前例を作れたことは大きな一歩だと思います。
・注意の前に長女の気持ちに寄り添うこと
・問題行動について禁止後や否定語で注意せず、問題に気づかせてあげること
もし学校側が言うように、長女よりも「問題のある子ども」がたくさんいると言うのであれば、上記2点のように学級内で長女に配慮することが、少なからず他の「問題のある(困った)子ども」たちへの配慮にも繋がるでのはないでしょうか。
そうなることを願っています。