にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

発達凸凹が大きい「普通の人」の育児〜私たち夫婦の場合

私は、診断はつかないものの、自閉症スペクトラム症(ASD)の傾向があるようです。

けれども、一応「普通の人」というカテゴリの中で生息しています。

夫も、素人目には不注意型のADHD発達障害特性(以下「特性」といいます。)があるように見えますが、同じく「普通の人」というカテゴリの中で生息しています。

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そして、長女はASD、次女はADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断を受けています。

 

私の家族は全員特性もちなので、特性を持つことが特別ではないという特殊環境なのかもしれません。

 

そして、発達障害の大きなカテゴリで分けると、ASD=私&長女、ADHD=夫&次女となります。

私は長女と幼い自分の姿を重ね合わせて見ることがありますし、夫も次女に対して同じような思いを持つことがあるようです。

 

発達障害については遺伝するとかしないとか、その辺専門家ではないので、私にはわかりませんが、娘の主治医いわく「親がアレルギーだったら、子供アレルギーの可能性が高い。そんな感じ。」だそうです。

なので、私たち夫婦もライトに「私たちが特性持ちだから、子ども特性もちだね〜」と考えています。

 

過去に苦労した経験を持つ私の心配

私は、起きてもいない娘の将来について心配しがちです。

特にASDと診断を受けた長女については、特性が私と似ていると感じることもあり、私のように将来辛い思いや経験をするのではないかと不安です。

ADHDとの診断を受けた次女も、性質が夫に似ていると感じることが多く、同様に特性も近似する可能性があればいろいろ苦労するかもしれないと想像して心配になります。

 

その一方で、私が自分の過去と娘の将来を重ね合わせることで、娘に関し自他の境界を越えないよう気をつけてもいます。

娘と私は違う人間であり、違う環境で生きている人間なのだと。

時には支援者から「各関係機関の支援を受けているからそこまで心配しなくていいよ」と言われることもあります。

 

でも、やっぱり娘に発達の凸凹がある以上、考えずにはいられない。

発達凸凹が大きい人が、多数派向けに構造化された社会のシステムで過ごすことは、多数派の人よりもパワーがいること。

学校で友だちと笑って過ごすにも、コミュニケーションの障害がある長女は特に、いろんな場面で戸惑い、ストレスを抱えることが出てくると思います。

こういったことできるだけ上手く察知して、手助けをしたい、問題が大きくなる前に、本人が疲弊してしまう前にフォローしたい。

常にそう考えずにはいられないのです。

 

「得意」「不得意」を見極める

娘に発達障害の診断がついた時は、世間一般並みにと言ったら変な言い方かもしれませんが、ショックを受けました。

娘は「障害があるから、苦難の人生を歩まなければならない。」と。

そんなショックも今は落ち着き、娘は「自分の得意・不得意を正しく理解しないと、苦労する」と考えています。

 

話しはそれますが、私は20代終わりの頃、対人関係で悩み苦しんだ結果「自分の得意・不得意を正しく理解していないから、仕事で自分が思うような評価がされない」ということに気づきました。

それまで、自己分析を嫌と言うほど重ねてきたにも関わらず、自己理解できていなかったことが不思議でなりませんでした。

今では、これが私の発達凸凹ゆえに起こったことだと思っています。

 

 ここで言う、「得意・不得意」というのは

・得意=努力無しで苦なくできること(強み)

・不得意=努力してもできず、苦痛を伴うこと (苦手さ)

と定義します。

先ほども、多数派向けに構造化された社会システムの中では、発達凸凹がある人は余計なパワーを削りやすいと言いました。

そして、パワーを削りすぎた結果、二次障害(鬱病摂食障害等)となる人もいます。

パワーを削りすぎず心身共に余裕のある生活を送るには、「得意なことを活かす」「得意なことに力を注ぐ」生き方が必要だと思うのです。

 

得意なこと=優位な認知特性を活かしたこと

と考えることもできると思います。

視覚優位、言語優位、聴覚優位この3つのタイプがあるとして、どれか突出したものがあれば、それを活かした勉強法や職業を選択してもいいかもしれません。

ninono0412.hatenablog.com

 *私は、視覚優位者で、特に道や建物を覚えることが得意なので、今度就職するときは、宅配ドライバーになろうかと結構本気で考えています。

 

ADHD風味の夫の育てられ方

夫は、小中学生の頃、いわゆる「ADHDあるある」的な行動があったようで、その頃は大変な毎日を過ごしてきたようです。

しかし、高校生以降、徐々に目立った問題行動も出なくなり、周囲の環境に適応するようになったようです。

とは言っても、本人も認めるように夫の特性がなくなった訳ではありません。

何か失敗があっても、失敗したと思ってはいるようですが「自分はこういうタイプの人間だからしょうがない。でも自分のできる範囲でカバーはする。」というスタンスで、自分を否定することはありません。

自尊心が高いのでしょう。

 

そんな夫の育てられ方は今後娘の育児に参考になると考えています。

義父母は、夫を否定することはけしてなく、今でも夫をよく褒め、励まします。

また「夫が小中学生の頃、とても成績が悪くて、落ち着きもなく先生に怒られてばかりいたけれど、本人が努力を重ね、勉強したことで(実際はほとんど勉強していない)、高校生の頃から成績が良くなった。」と考えているので、夫の発達凸凹には一切気づいていないようです。

 

義父母が夫の発達特性に気づいていない、または前向き指向?なところには少々驚きますが、そんな義父母に育てられたからこそ、夫は高い自尊心を形成できたのでしょう。

 

【義父母の育児】

  • 本人の苦手なところ、できないことには着目しない。
  • 苦手なこと、嫌なことは無理にさせない。
  • 本人のやりたいこと(遊びも含む)は自由にさせ、本人が望めばサポートする。

  •  本人が頑張っていることは、徹底的に応援し、本人の姿勢を評価する。

*私が夫や義父母から聞いた話しをまとめると、このような育児方針のようです。

 

おわりに 

娘の主治医に「あなたも特性があるから、子どもたちのことが理解できて良いじゃない」と言われることがあります。

そんなことを言われても、私に特性があることが、発達障害の娘の育児に直接役立つとは思えませんでした。

けれども、今こうやって冷静に考えてみると、特性の扱い方を人生の先輩として娘に伝えることはできるのかもしれません。

 

また、娘を育てなければ、過去の辛い記憶はそのまま胸の奥にしまったままであったところ、今は必要に迫られて、あえて辛い記憶を思い出し、娘の姿と重ね合わせることがあります。

実は、そうすることで、私は辛い過去を昇華しつつあるのかもしれない。

もし本当にそうであれば、私は娘が生まれたことに、深く感謝しなければなりません。

ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)

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*自身が母であることに思いを馳せ、 そして胸が喜びや切なさでいっぱいになるお勧めの絵本です。