にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

子どもの他害行為、子どもと一緒に解決法を考えてみた。

長女は週1回、英語教室に通っています。

先日、担当の先生に「長女がお友達を叩くことがある」との報告を受けました。

長女は、保育園でもお友達を叩くことがたまにあるため、頭を悩ませていたのですが、やはり英語教室でもそれは起こっていたのでした。

ninono0412.hatenablog.com

今回は、今後英語教室で長女の他害行為を防ぐために、どう対策を取ったのかという話です。

 

自分の気持ち・考えを表現することができない長女

まず、事の真相を明らかにするため、長女に話を聞いたところ、次の2つの出来事についてある程度事情がわかりました。

ケース①

・二手に分かれて列になるよう先生が生徒に指示をした。

・長女は、先生の指示がよくわからず、どの列に自分が並ぶのかわからないまま適当にある列に並んだ。

・長女は、A君に並ぶ場所が違うという意味で「NO!」と言われたが、言われた意味がわからなかったので無視した。

・長女は、仲の良い友だちに日本語で並ぶ場所が違うと教えてもらったが、その子と一緒がいいと思ったので、そのままでいた。

・そのうち、A君に何度も「NO!」と言われて、嫌な気持ちがふくれあがりA君を叩いた。

 

ケース② 

・長女は、Mちゃんに英語で話しかけられたが、何を言われているのかわからなかった。

・(その時Mちゃんは、自分のテキストを長女が持っているかどうか聞いていた。実際長女がMちゃんのテキストを間違って持っていた。)

・長女はMちゃんに何度も同じことを言われたけれど、Mちゃんの話す意味がわからないままだったので、もやもやした気持ちが次第に大きくなり、Mちゃんを叩いた。

 

 最初「何があったかもう忘れた」と長女は言い、話をすることを拒みました。

いつもなら「思い出しなさい!」と命令するところですが、今回は「思い出したら呼んでね。」と穏やかに伝え、その場を離れました。

それに、私の揺るぎない姿勢を感じ取ったのか、気持ちを落ち着けることができたのか、長女は約5分後に「思い出した」と上記の出来事を話してくれました。

 

この2つのケース。

長女がお友達を叩いた原因はほぼ同じであることがわかりました。

この英語教室、先生はネイティブで生徒もオールイングリッシュでクラスに参加することを求められます。

そのため、たいして英語力のない長女は、英語力のあるお友達に英語で話しかけられても何を言っているのかわからない。

けれども自分が何か間違ったことをしている...でもどうすれば良いかわからない...となり混乱したのでしょう。

さらに、英語でどう返したら良いかもわからないし、どうすれば良いか英語で質問することもできない八方塞がりの状態に陥り、イライラが高まってしまったようです。

 

いくらオールイングリッシュを求められているとは言え、困ったら日本語で聞けば良いのに、その器用さがない長女が哀れに感じました...。

ただでさえ、(日本語で)自分の気持ちを上手く言葉で表現することが目下の課題である長女。

オールイングリッシュの環境であることが、更に自分の思いを伝えるには足枷となったのでしょう。

 

 一緒に解決法を考える

私が子どもに何かメッセージを伝えたい時に↓次の本を参考にすることがあります。
子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全

子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全

 

 今回の長女の問題も、この本に書かれていることを参考に長女と話し合いたいと考えました。

既に、長女からは何が起こったかを話して貰うことはできました。

肝心なのはここからです。

長女に「自分の気持ちを相手に伝える」ことの大切さを理解して貰わねばなりません。

前述の本に「(子どものある)問題を解決するために」次の方法が書かれています。

ステップ1.子どもの気持ちと必要について話す。

ステップ2.あなたの気持ちと必要について話す。

ステップ3.一緒にいろいろ案を出して、お互いに同意できる解決法を見つける。

*ステップ4と5は省略

『子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全』159頁

 

上記ステップ通りに話が運ぶよう、私が冷静でいられるよう気持ちを落ち着けてから、長女と話しを始めました。

私「長女ちゃんはお友達の話をしていることがわからなかったんだね。何回も同じこと言われたら嫌な気持ちになっちゃうよね。」

長女「うん...」

私「でも、お母さんはお友達を叩くことは良くないことだと思うよ。」

長女「うん、良くない...」

私「じゃあ、どうしたらお友達を叩かなくても良いと思う?」

長女「聞く...」

私「そうだね。でも、英語で話さなければいけないと思って、何も言えなかったんだよね?」

長女「うん...」

私「じゃあ、日本語で「わからないから、日本語で話して」とお友達に言うのはどう?」

長女「でも、英語じゃないとだめだよ...」

私「英語教室では全部英語で話した方が良いだろうけど、教室で日本語で話すことと、お友達を叩くこととどっちが良くないことかな?」

長女「叩く...」

私「じゃあ、日本語で話してもいんじゃない?それに、それで上手くいかなかったら先生に日本語で聞けばいいと思うよ。」

長女「わかった...」 

 

以上の通り、「お互いに解決策を出し合う」には至らなかったのですが「困った時は日本語で質問する。先生に助けを求める。」ということについて、一定の理解は得られたと思います。  

 

英語教室の先生の話

 長女の話だけでは事情が明らかになったとは言えないこと、長女と決めた解決方法を先生に伝えるため、長女のクラスの先生と面談を行いました。

ネイティブの先生との面談は通訳を通して行われたため、なかなか思うところが伝わってない、受け取ることができない部分はあったのですが、

先生は終始「心配しすぎ!長女ちゃんはよく頑張っている!」ということを繰り返し話しておられたので、今回の出来事はそこまで深刻な状態とはなっていないようで安心しました。

そして、長女が今後お友達を叩くようなことが起こらないために

「長女がお友達との意思疎通で困った時は日本語でコミュニケーションを取ってもいい」と先生から伝えてもらうことを約束して頂きました(実際に伝えるのは日本人アシスタントの先生)。

 

ところで、この面談で先生から気になることを聞きました。

生徒たちに移動を一斉指示した時に、

「長女は、体の動かし方が激しい、または、急ぐあまり側にいるお友達を押してしまうことがある」そうです。

このことを、長女を担当する作業療法士に話したところ、

深刻な顔して「ボディイメージが掴めていないのかも...」と言いました。

長女は自分の体の動かし方が、自分が考えたよりも大きくなってしまうことを予測することが不得手なのでしょう。

周囲に不快感を与えるような行いは作業療法により、少しずつ改善していけたら良いと考えています。

 

おわりに

以上のことから、何も無理してオールイングリッシュの英語教室に通わせなくてもいいのでは?と思う方もおられるかもしれません。

実際、コミュニケーションに課題のある長女に、一定の無理がかかっているとは思います。

けれども、この英語教室ではいわゆるお勉強的な机上課題は少なく、(英語で)コミュニケーションを取ること、自分を表現することに重きを置いており、あともう一歩長女に英語力がつけば、今よりも英語教室を楽しむことができ、長女の将来に繋がると考えています。

また、長女と同じクラスに非常に多動なお子さんがいるのですが、参観日でクラスの先生が何度もそのお子さんの注意を巧みに引き、授業に戻す様子を見て、とても感心したことがあります。

どんな習い事をさせても、このような先生に出会えるとは思えず、その先生に長女を成長させる場を作って欲しいと期待をしてしまうのです。