アナログゲームでコミュニケーション療育〜ねことねずみの大レース
長女は、コミュニケーションスキルに乏しく、自分の気持ちを相手に伝えることも、他人の気持ちを想像することも不得手です。
さらに、感情のコントロールも難しく、見通しがつかなかったり、自分の思うとおりにならないと、不安や怒りを感じやすく、トラブルが頻発します。
それでも、長女はお友達と遊ぶのは大好き。
常に人との関わりは求めている。
そんな長女に家庭で気軽にできるコミュニケーショントレーニングはないかと探していたところ、「アナログゲームを用いたコミュニケーション療育」を紹介しているブログを見つけました。
各種ゲームの紹介もされており、ゲームごとにどのようなコミュニケーションスキルが学べるか丁寧に解説されており、大変勉強になりました。
ねことねずみの大レース
長女のコミュニケーショントレーニングに最適なゲームはどれなのか?
『発達障害の子がかんしゃくを起こしやすいゲームの要素』
1.負け残りルール
2.他のプレーヤーを攻撃する手段がある
3.うっかりミスで重たいペナルティを受ける
4.どんでん返しがある
上記の要素を考慮しつつ、長女も私も楽しめるゲームを検討した結果「ねことねずみの大レース 」を購入しました。
ねことねずみの大レース / Viva Topo! 【正規輸入品】
- 出版社/メーカー: Selecta Spielzeug
- 発売日: 2007/12/27
- メディア: Board Game
- 購入: 9人 クリック: 88回
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対象年齢:4才半~大人
プレイ人数:2~4人用
所要時間:20~30分
受賞歴:ドイツ 2003年 キッズゲーム大賞 (Kinderspiel des Jahres)大賞受賞
2003年 日本ボードゲーム大賞受賞 子どもゲーム部門
ゲーム内容の詳しい解説は次のホームページに詳しく、それをご参考頂きたいのですが、単純で簡単だけれども、自分(ねずみ)・相手・ねこの駒の状況を終始確認する必要があり、戦略的要素が高いゲームなので、大人でも充分楽しめます。
ゲーム紹介: ねことねずみの大レース / Viva Topo! 高円寺0分すごろくや
子どもがこのゲームで遊ぼうと誘ってくれれば、おままごとだと腰が重くなってしまう私でも、腰が軽くなる程です。
基本的自尊感情を育むための共有体験
娘には『基本的自尊感情』(どんなことがあっても「自分はここにいてもいいんだ」という、自分の存在を根源から信頼する感情のこと)築いて欲しいと願っています。
この自尊感情は身近な誰かと同じ体験を共有することによって、育まれるそうです。
親や兄弟、友達と同じものを見たり感じたりすることで、つらくても自分はひとりではないことや、楽しいことは誰かと共有することで膨らむことを実感していく。
そこで、娘が自尊感情を育むために、日常生活の中で気軽に娘と共有体験を積み重ねていければと考えていたところ、アナログゲームで遊ぶことが娘との日常における共有体験となっています。
感情のコントロールがきかない長女の場合、怒ったり、すねたりすることが多く、相手をするのは大変だけれども、ゲームをリードしたり、勝てば異常に喜ぶ長女を見るのもなかなか楽しく、娘のためにと言うよりは、自分にとっても大切な時間となっています。
コミュニケーションのトレーニング
アナログゲーム(『ねことねずみの大レース』)を長女のコミュニケーショントレーニングとするにあたって、当面の目標は、
「自分が不利な状況に置かれたり、負けても怒らない」です。
発達障害の子は周りの様子や状況に目を配ることができない傾向があり、複数人でゲームをしていたとしても、自分の世界の中でゲームをしているため、突然の状況変化についていけず、驚きも相まって癇癪を起こしやすい傾向にあります。
長女もこの傾向が強く、それでは、自尊感情の育むための共有体験も台無しとなるので、ゲーム中、長女が怒らない工夫や声かけを行うように心がけています。
実は、このゲームには上記「発達障害の子がかんしゃくを起こしやすいゲームの要素」の一つ、うっかりミスで重たいペナルティを受ける場合があります。
このゲームは自分の駒(ねずみ)は常時4〜5個ボード上にあり、これらの駒を動かすことで、より多くのチーズを獲得した者が勝つゲームです。
しかし、ねこに捕まるとその駒はゲームから離脱しなければならず、駒が失われた分、チーズを獲得する機会が減り、ゲームで勝利を治めることが難しくなります。
そのため、自分の駒がゲームから離脱しないよう、ねこの駒の動きを常に見張っていなければなりません。
ところが、自分の駒4〜5個とねこの駒を同時に見守ることは、長女にはまだ難しいので、必要に応じて猫の駒の動きを長女に伝えるようにしています。
今のところ、長女にとって、ゲームを楽しく終了させることが、一つの課題ですので、長女がなるべく不利な状況にならないようにプロンプト(「手助け」のこと)を行うことは必要だと考えています。
また、長女自身も負けた時に嫌な気持ちとなって怒りたくない、楽しくゲームをしたいという気持ちは少なからずあると思います。
けれども、ゲームの度に長女が怒っていては、「またすぐ怒るんだから...」という私の気持ちが態度に出ることもあるでしょう。
そんな態度が長女に伝われば、「ゲームをやりたい」という気持ちさえ失われるかもしれません。
私が子どもとの関わりで日常的に参考にしている本
『子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全』によれば、
子どもに対する親の見方が、子どもの自分に対する見方ばかりでなく、振る舞い方にまで影響する
そして、このような「見方」が存在すれば、子どもをある役割(例:「負けず嫌い」、「うっかり屋」)にはめてしまうことになる→そうならないためのスキルが紹介されています。
子どもを役割から解放するために
*本文では6つのスキルが紹介されていますが、そのうち3つのスキルを記載しています。
- 子どもに新しい自己像を見せてやる機会を探す
- 子どもにして欲しい行動の、モデルを見せる
- 子どもが古いレッテルに従って行動したときには、あなたの気持ちと期待することの、両方、またはいずれかを話す
上記3つのスキルを、実際のゲーム中にどのように運用しているかというと、
1.子どもに新しい自己像を見せてやる機会を探す
長女は、どうしても自分の駒にだけ集中し、それが原因でゲームに負けることが多いので、「自分は弱い」と思っているようです。
そのため、余計勝つことに執着している様子。
そこで、ゲーム中、長女が大きなチーズを獲得するなど、勝利に繋がる行為があれば、「一番に大きなチーズを取ってすごいな〜」等、まめに賞賛することを心がけています。
2.子どもにして欲しい行動の、モデルを見せる
私がゲームに負けた場合には、もし長女がゲームに負けた場合のお手本となるような態度を示すようにしています。
私「あ〜、負けちゃって残念!負けるのはつまらないな〜。でも、今度またゲームをした時に勝てるよう頑張ろう。長女ちゃん、一番でおめでとう!」
3.子どもが古いレッテルに従って行動したときには、あなたの気持ちと期待することの、両方、またはいずれかを話す
長女がゲームに負けて、怒った場合は、このように言うようにしています。
私「そういう態度は悲しいな〜。ゲームは勝っても負けても楽しめたらいいよね。」
以上のような関わり方をすることにより、長女の怒る回数を徐々に減らし、「楽しいことは誰かと共有することで膨らむ」ということを長女が体験できるよう願っています。
おわりに
コミュニケーショントレーニングに使えるアナログゲームは他にもいろいろあるようです。
次は何にしようかと考えるのも一つの楽しみとなっています。
今人気のあるゲーム「カタン」も療育で使うことができるそうです。
知的・発達障害のあるお子さんに「カタン」で療育したケース - Togetterまとめ
療育教室で使われているというゲーム「かたろ〜ぐ」これも良さそう。
こちらのブログに詳しいです。
いろいろ種類はあるようですが、子どもの年齢に合わせて、少しずつ買い足していきたいと思います。
もちろん、自分も楽しむ前提で。