にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

子どもの「指しゃぶり」の原因を考える

現在、年長の長女は「指しゃぶり」を日常的にしています。

寝る時、待ち時間で手持ちぶさたな時等、基本的に行動がとまっている時に「指しゃぶり」をしていることが多い。

なんとか、止めさせたいと思い、以前苦味がするマニキュアを購入し、長女の指に塗りました。

マヴァラ バイターストップ/10ml

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 このマニキュアは、想像以上に凄まじい味がします。

私も、ちょっと嘗めてみたら驚くほど耐え難い味がしたので、 思わずティッシュで舌を拭きました。

長女も初めてその味を賞味した時は、目を丸くさせ、一生懸命ティッシュで舌を拭いたので、思わず笑いがこみ上げました。

けれども、この効果で長女が指しゃぶりをやめた期間は、たったの1週間。

長女いわく、嘗め続けているうちに味がなくなるそうです。

(私であれば、味がなくなるまで嘗め続けることなど耐え難い行為ですが……)

 

これにより、長女の指しゃぶりは対処療法によってやめさせることは難しいと認識することとなりました。

 

「指しゃぶり」の原因は愛情不足なのか?

 

長女が年中の頃から、年齢不相応に指しゃぶりをすること、気持ちの切り替えを上手くできないことが目につくようになりました。

それを気にとめた担任の先生はこう言いました。

「お母さん、お仕事で忙しいでしょうけど、長女ちゃんは寂しいと思うんです。」

先生は、長女の一連の行動を「愛情不足」が原因だと考えたようです。

当時、私は「愛情不足・寂しさ」が長女の指しゃぶり等の直接の原因であるとは思いませんでしたが、かといって、何が原因であるかは一向にわかりませんでした。

園になじめず、何か我慢しているのだろうか?

私の態度が厳しすぎるのだろうか?

いろいろ悩み、考えました。

先生に「愛情不足」と見られたことも大きなプレッシャーとなっていたのも事実です。

 

後述するように、長女の指しゃぶりの原因は、「愛情不足」とは関係がありません。

世間一般的には、指しゃぶりの原因を母親の育児方法の問題とすることも多く、母親であれば、自責の念を感じてしまうかもしれません。

私もそうでしたが、人は理由がわからないことについて責められたり・指摘されると、つい何とかしようと焦ってしまいますよね。

そのため、「指しゃぶり」原因を考えるよりも先にそれをやめさせる方法ばかり考えてしまう。

けれども、「指しゃぶり」は子どもの何らかの不調のサインであり、その「原因」に目を向けることの方が大切だと今は思っています。

 

指にテープを巻く方法

 

今年3月に思いもかけず、長女はASD(自閉症スペクトラム障害)の診断を受け、各方面の専門家からアドバイスを頂くようになりました。

担当心理士は、長女の指しゃぶりについて、

「無意識でやっていることを注意でやめさせることは難しい。注意すればする程、直せない自分に本人が自信を失くしてしまう。 本人に直したい理由がないと指しゃぶりをやめるのは難しい。」

確かに、その通りだと思いました。

そして、指しゃぶりをするごとに、注意をしていれば、自尊心を傷つけたり、長女が私を疎んじるようになり、親子関係にヒビが入りかねません。

そこで、直接口頭で注意することはやめ、フォロワーさんにアドバイスにより、指に本人の好きなキャラクターの絆創膏を貼ることに。

 ところが、キャラクターの絆創膏は指からはがしやすく、あっという間に長女は取ってしまいます。

好きなキャラクターの絆創膏であれば、しゃぶったり取ったりしないかと思いましたが、あては外れました。

 

そこで、次は布絆創膏を指に巻くことに。

布絆創膏は一般的な絆創膏とは違って、つるつるしておらず、しゃぶり心地は非常に悪く、ぐるぐる巻きにすれば簡単には取れません。

ニチバン 病院バン 25mm幅 5m巻き 1巻

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 けれども、いずれにしろ、「巻かれてなければ指しゃぶりはする」という状態にはかわりないので、今では「指しゃぶりをしない方がいいとお母さんは思ってますよ」と知らせるために、時々使っています。

 

 保育園の巡回指導と指しゃぶりの原因

 

先日、長女の保育園で巡回指導が行われ、私も参加しました。

*「巡回指導」とは、市内認可保育所のうち、障がい児が入所した保育所を年2回以上、市の職員及び専門員の2名の指導員が巡回し、障がい児と接し、 その障がいの種類及び程度に応じた保育を実施するよう、園長及び保育担当者と打ち合わせを行い、指導するものです。 

 

当日の園児の活動は、運動会のかけっこの練習及び鬼ごっこでした。

長女は、かけっこの順番がきた時、鬼ごっこをしている時等、能動的に体を動かしている時は目を輝かせ、活動に取り組む様子が見られましたが、それ以外は常に指しゃぶりをしていました。

 

指導員はその様子から長女について次のような話をされました。

  • 集団行動は基本的に苦手なようにみえる。
  • 集団行動に参加しなければならない時は、本人なりにそこにいる努力はしているけれど、安心感を求めるあまり、担任の先生のそばに常にいるようにしたり、指しゃぶりをしているようだ。
  • 集団行動では、自分のやり方が通らないと面白くないという思いが強く、それを解消するために指しゃぶりをしているのかもしれない。
  • 以上のような理由から指しゃぶりは無理にやめさせるものではなく、ある程度本人に合わせて活動の自由を認めるとともに、本人が友だちと遊ぶのは楽しい、保育園で過ごすことは楽しいという気持ちを培っていくことが大切。

 長女にとって、「集団行動」は負担のかかるものであり、ついつい「指しゃぶり」で気持ちを落ち着かせているようです。

 

長女は毎日負担のかかる状況で頑張っている。

これまで「指しゃぶり」をしているという事実にしか着目してきませんでしたが、「指しゃぶり」は長女が頑張っている証しだと思うようになりました。

 

長女でなくとも、大人だって誰だって、生活の中で不安やうまく説明できないモヤモヤを感じることはある。

その不安を発散する方法は、人によって千差万別であり、今の長女にとって、その方法は「指しゃぶり」であるのかもしれないけど、その発散方法は、何かをきっかけとしながら成長と共に形を変えていくものだと思います。

そう考えると、あまり心配する必要はないのかもしれません。

 

今、私が長女のためにできることは、長女が発するサイン(「指しゃぶり」)を受けて、長女が安心できるような環境作りをしたり、不安の原因を取り除いてあげること。

 

最近では、長女の睡眠中に「指しゃぶり」を見つけたら、優しく体を撫でてあげると、自分から指を外すこともあります。

緩やかに、丁寧に長女の「指しゃぶり」を見守っていきたいと思います。

 

おわりに

 「指しゃぶり」は子どもの不調のサインであるという話をしてきましたが、単に癖となっている部分もあるのかもしれません。

「指しゃぶり」のマイナス部分(「歯並び」「指たこ」等)を本人の負担にならない程度に、上手に伝えていきたいと思っています。

 

*この本が面白そうなので購入検討中。ちょうど入学前の女の子が登場人物らしい。

ゆびたこ (ポプラ社の絵本)

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追記(2017.5.6)

:長女は入学して、学校で指しゃぶりを注意されるようになってから徐々に指しゃぶりの頻度が減っていきました。他者意識が育ってきたのかもしれません。

そして、1年生の冬に口に歯の矯正装置をつけるようになってからぴったりと指しゃぶりはなくなりました。長女曰く「指しゃぶりしても美味しくないから」やめたそうですww