子どもの認知特性を知る〜認知の優位性を理解し、子育て・学習に活かすには
前記事では私たち夫婦が行った認知特性テストから、
「お互いの物事を理解したり、表現する方法が異なるがゆえに、コミュニケーションを円滑にとれない場合がある」
ということについて考察しました。
★認知特性→外界からの情報を頭の中で理解したり、整理したり、記憶したり、表現したりする方法
私は、認知特性テストで、視覚認知が優位、聴覚認知が弱いとの結果が出ました。
これを昔から自覚していれば、学生の頃、視覚優位であることを活かした勉強方法を積極的に取り入れることができただろうし、これを活かせる職業を目指したかもしれません。
実は、高校生の頃、照明家になりたいと思ったことがあります。
コンサートに行く度、舞台を彩る色鮮やかな光の洪水に目を奪われました。
結局、照明家を志すことはなかったのですが、視覚優位な私に向いている職業だったのかもしれません。
(ああ、でも、聴覚認知力がイマイチなので、音楽に合わせて照明を変化させることは不得手かもしれない...)
それでは、我が子の認知特性はどれなのか?
その優位性を活かして、子育てや学習方法に活かすことができるのではないか。
それを、調べてみることにしました。
子どもの認知特性テスト
前記事で紹介した
医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)
の著者は小児発達医で、子どもの認知特性について詳しい本「頭のいい子は、3歳からの「遊び」で決まる!」(以下「本書」といいます。)も書いており、本書に子どもの認知特性テストが載っています。
本書は、「小学校受験」や「早期教育」をテーマに、子どもの発達について書かれた本でもあり、発達凸凹の我が子について、その内容をそのまま参考とするには不適当な部分もありますが、子どもの認知特性について理解を深めるには良書だと思います。
早速、長女にも認知特性テストをしてみることに。
子どもの認知特性テストは、視覚優位者、言語優位者、聴覚優位者、この3つのどの特性にあてはまるかを調べることができます。
A 視覚優位者→「見た情報」を処理するのが得意
B 言語優位者→「読んだ言葉」を処理するのが得意
C 聴覚優位者→「聞いた情報」処理するのが得意
同テストは、当事者である子どもではなく、第三者(大人)が問いに答える形式ですので、
例えば「おまままごとが好きか?」という問いには、本人の普段の様子から答えを出すにしても「本当に好きなんだろうか?」と考え込んだりもしました。
そういった意味で、どこまで正確なのかは疑問です。
(本書には、子どもが小さい場合は、認知特性は変わってくる場合があると書かれています。)
結果、長女は、視覚・言語が同程度に優位、聴覚が弱いという結果に。
認知特性は遺伝するのか、長女の特性の傾向は、私と似ていました。
ところで、本書の著者本田真美氏は、
子どもの得意分野を調べるためのPCソフト『こども脳機能バランサー』(レデックス)の開発に携わったそうです。
このソフトはiPad用アプリ版もあって、うちではアプリを使っています。
このアプリでは、
”13種のタスクを「注意力」「言語力」「空間認識力」の3つの力に分類。
得意やニガテも分かりやすいので、楽しみながらバランスよく、脳の機能をトレーニングできます。 ”
長女は、このアプリで遊んだ結果「空間認識力」に弱さがあることがわかりました。
当初「空間認識力」に関わるタスクでは点数が取れず、点数から算出される発達年齢が実年齢よりもかなり低く出ました。
*実際、病院で行った発達検査の結果からも、「見えないものを想像する力」に弱さがあることを指摘されています。
そこで、長女の「空間認識力」の弱さの底上げを図ろうと、iPadに次のアプリをインストールしました。
どちらも、遊びながら、空間認識力を鍛えることができそうなゲームです。
「Toca Builder」は積木を積んだり、壊したり、色を塗ったりと様々な技巧で立体作品を作成するゲームなので想像力を養うこともできそうです。
とは言っても、長女は、「空間認識力」に弱さがあるだけに、夢中になって遊ぶことはあまりなく、私が声かけした時に、気が向けば遊ぶといった感じです。
それでも、アプリだと、気が向けばいつでも遊ぶことができますし、安価なものも多いので、「弱さ」の底上げ学習としては、便利だと思います。
ところで、視覚優位のタイプには、
①写真(カメラアイ)タイプ
②三次元映像タイプ
の2タイプがありますが、空間認識力が弱いとなると、長女は、三次元映像タイプではなく、写真タイプなのかもしれません。
カメラマンや画家、デザイナーに多いのが写真タイプだそうです。
実際、長女は絵画が大好きで、しょっちゅう絵を描いています。
絵画を得意として、自信をつけていけば良いのかもしれません。
優位性を考慮した学習方法
長女は、玉そろばんを使って、45という数字の玉を並べることは容易にできても、
「45は十の位の数字が( )で、一の位の数字が( )です。」
という穴埋め問題を、すんなりできることはないでしょう。
視覚的イメージを利用して数を理解していても、文章で数を表現するとなると、混乱するようです。
視覚優位者の中には、こういう子も多いようです。
*うちで使っている玉そろばん。足し算、引き算の問題を解く時にも使います。
一方、学校の授業等での学習は言語優位者や聴覚優位者に有利だそうです。
言語を聞いてまたは文章を読んで理解しなければならない授業が多く、理解したことを表現(回答)するにも、言語で表出する必要があるからです。*ちなみに教師は言語優位者が多いようです。
長女は、視覚優位者であることはほぼ間違いないので、授業を理解する手助けとして、視覚を手がかりにした教材で理解を助ける必要があるでしょう。
私も、かつて、算数や数学の授業は、先生の話で理解できなかったところ、自宅で図や表が多用された参考書を使うと、驚くほどに理解が進んだものです。
好きこそ物の上手なれ
人は自分の認知特性に関わることに興味を持ちやすい傾向があるように思います。
「好きこそ物の上手なれ」ということわざの意味は、
〜どんなことであっても、人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早いということ。
ですが、そもそも「好きなもの」は認知特性によって脳内にインプットされやすい情報とつながりがあるように思います。
【例】
- 視覚優位者〜絵、工作
- 言語優位者〜作文、読書
- 聴覚優位者〜音楽、語学
そもそも、脳内に入力されにくい(記憶にとどめにくい)事柄は好きになることすらできないでしょう。
けれども、認知特性に合った好きなものであれば、本人の能力を発揮しやすいのかもしれません。
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娘たちが「好きなもの」は何だろう。
「好きなもの」に集中できる環境を娘たちに作ってあげることも大切にしたいなあ。