毎日の生活にABAを〜発達障害児の家庭療育に求められるもの
娘たちが発達障害と診断されてから、発達障害児の療育について調べ、家庭内でも娘たちの発達の手助けになるよう「声かけ」等に気をつけています(主に後述するshizuさんの本を参考にしています)。
けれども、本やネットでいろいろ調べ、実践した療育法等が、すぐに効果が出ることなどありません。
それが続くうちに、私も気づかぬうちに娘たちに苛立ちを感じるようになり、それに気づきながらも、苛立ちを押さえきれない場面が増えるようになりました。
「これでは、娘たちをかえって、傷つけてしまう。」
私自身に助けが必要だと感じました。
そこで、いろいろ調べた結果、
臨床心理士第一種指定大学院に相談機関があることを知りました。
現在、2週間に1回程度の頻度で、某大学院の心理相談室に通い、臨床心理学、特別支援教育等を専門とする大学院教授に話を聞いて頂いています。
できない課題には手助けを
最近、長女のために「朝のしたく表」、「トークンシステム表」を作成しました。
これらの効果は、確実に現れています。
けれども、ひとつ私をイライラさせる問題があります。
長女が
- 「朝のしたく表」の存在を忘れる。
- トークンシステム表に「ポイント」を付けることを忘れる。
もちろん、導入当初に比べ、格段に忘れる頻度は減っていますが、
それはそれで「もう始めてからだいぶ経つんだから、忘れないでほしい...」
とイライラし、忘れたことについて長女に文句を言ってしまうのです。
これでは、台無しです。
このことについて、上記心理相談室の教授に相談をしました。
教授は、ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)*の考え方に基づいたアドバイスをくれました。
*「ABA」は発達障害児の療育法の一つで、伸ばしたい行動には褒めたり、ほうびを与えて伸ばし、抑えたい行動に対しては、ほうびを一切与えないことや、軽い不快を与えることによって抑える、ということを基本とする方法。
教授「 (長女が)忘れたことを思い出すためのプロンプト(手助け)をして下さい」
つまり、長女が朝のしたく表の存在を忘れた時は、
「朝のしたく表」を指さすまたはその前に連れて行く等のフォローをする」
ということです。
子どもが苦手なことや、なかなか達成できない課題に対しては、親が手助けをすることも必要です。
ABAではこうした手助けのことをプロンプトと呼んでいます。
効果的にプロンプトを行うと、スムーズに課題を達成することができます。
shizu著「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ」より
発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ (健康ライブラリー)
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何かを与えられて、「さあ、これを使いなさい」と急に言われても、誰でもはじめは要領を得ないものですし、
ましてや、朝のしたくが定着しない長女が「朝のしたく表」を忘れずに完璧に使いこなすこと自体無理ですよね。
「朝のしたく表」の利用、「トークンシステム」のポイント付けそのものも、長女が達成すべき課題として、考える必要があったということです。
課題を設定する前に、課題の現状について記録する
「朝のしたく表」や「トークンシステム」の導入により、長女の課題とすべき行動は着実に定着化しています。
それにも関わらず、朝のしたくを忘れてしまう長女にイライラしてしまう...。
この話を聞いて、教授は、
「したく表を導入する前に現状について、記録して置けば良かったね」
と言いました。
ABAでは指導の有効性を検証し、立証するためにデータを取るそうです。
*このように、教授は、私がイライラせずにすむ方法として、論理的な物事の考え方、客観的に状況を俯瞰する方法を指導してくれます。
ただ、トークンシステムについては、ポイント表を残してあるので、今後、1週毎に前週とポイント数を比較する予定です。
この方法により、長女の苦手な行動及び得意な行動を把握し、今後の対策を講じることができるでしょう。
今後、このように、トークンシステムを長女を伸ばす材料として有効に使っていこうと思います。
褒めるタイミング
心理相談室に行くときは、姉妹も連れていきます。
今回の相談の帰り際、次女におもちゃのお片付けを頼み、次女が行動に移しそうな様子を確認して、私は部屋から出ました。
その直後に、次女は頼んだ片付けをしたようです。
この様子を見ていた教授が、私に
教授「ほら、今次女ちゃんが言われた通り、お片付けをしたんだから、その時すぐに褒めたらいいよ!」
教授「すぐに褒めれば、後から褒めるよりも効果がもの凄くある。何回も同じことを褒めてようやく効果が出るより、1回で大きな効果があった方がいいじゃない。」
私は、普段、褒めるタイミングを見逃しているのかもしれないと気づかされました。
娘たちに何かを促した時は、見守ることを心がけ、褒めるタイミングを逃さないようにしたいものです。
行動を促し、その行動ができたら、すぐ褒める。
こうすることで、娘たちはできた行動が強化され、次回も同じ行動を取ることが定着していく効果が期待できるそうです。
このように ”ABAを利用した働きかけを実践する上で、ほめることはとても大切”なことだと言われています(shizu著「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ」より )。
おわりに
どんなに工夫こらして「朝のしたく表」や「トークンシステム」を作っても、その課題ができたかどうかが目的となっては、伸びるものも伸びず、その効果が半減してしまいます。
課題を達成するための手助けや、課題ができた時にタイムリーに褒めることが、子どもが伸びるための重要なファクターとなるのでしょう。
このファクターを丁寧に拾い上げるには、
子どもに寄り添い、その様子を見守る。
娘たちの笑顔がたくさん見られるような毎日したいものです。
スズコさんが、このように呟いておられました。
#宿題やろうぜ
— イシゲスズコ (@suminotiger) 2015年8月9日
宿題させてるときに親は意外と子供の顔を見ずに、テキストやノートや子供の手元だけ見てることが多いらしい。そのときに子供が親を見ても視線が合わなくて不安を増すことに。子供が親の顔を見たときに目が合わせられるように意識して接すると子供のやる気が長続きするんだって。
娘たちが就学し、宿題をするようになった時にも、同じように寄り添い、見守ることが大切になってくるんですね。
娘たちの視線を、気持ちを受けとめられるような距離にいてあげよう...
そう強く思った1日でした。