にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

就学先は特別支援学級か通常学級か〜指定学区学校見学編

長女は自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されています。

現在、その長女を、特別支援学級に入学すべきか、通常学級に入学すべきか非常に悩んでいます。

長女は、保健センターでの健診、発達相談を、全て問題なしでスルーしており、その障害の程度がいわゆる「グレー」(軽度)です。

それゆえ、「必然的にこうすべき」ということが、見出し難い状態にあると思います。

ninono0412.hatenablog.com

当初、私は、長女が特別支援学級(以下「特学」といいます。)の対象とはならない(むしろ入れない)ものだと、はなから思っていました。

そして、入学後、情緒障がいの通級指導教室(以下「通級といいます。)に通うことを予定していたのです。

ところが、調べたところ、うちの自治体では、新1年生が通級を希望する場合、入学後のクラス担任が本人の障がいの程度や具体的な困り感について記載した資料を作成及び提出のうえ、教育委員会に審議を依頼するシステムであることがわかりました。

そのため、新1年生の通級希望者は、1学期中に審議を依頼したとしても、早くて2学期からの通級となるそうです。

 

うちの自治体では、特学及び通級を希望する場合、次の図のような流れで、特学または通級入級について、教育委員会が決定するシステムになっています(但し、これには地域差があり、自治体ごとにシステムが異なるようです)。

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ちなみに、「情緒障がい者に関する、特別支援学級、通級による指導の対象となる障がいの程度は、次のように文科省から通知されています。

「特殊学級」(現特別支援学級

一 自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの

二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの

 

「通級による指導」

一 自閉症又はそれに類するもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの

二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの

特別支援学級」及び「通級による指導」の対象となる児童生徒の障がいの程度:障がいのある児童生徒の就学について」(平成14年5月27日付け14文科初第291号文部科学省初等中等教育局長通知)より

 

社会性の問題〜犯人ごっこ

長女の話に戻ります。 

6月上旬頃、さしあたって通級のための準備の必要がないとわかり、今は療育に専念しようと考えていました。

ところが、度々、長女が保育園で、お友達とのトラブルを起こすようになったのです。

 

ある日、長女の担任の先生から、長女が書いた手紙を渡されました。

この手紙は、クラスメイトのSちゃんにあての手紙で、次のように書かれていました。

Sちゃんのつくった ふうせんは かわいくない。

その日は、園で風船を使った工作をしており、その風船について書いた手紙だったようです。

先生は、長女が、その手紙をSちゃんに渡す前に、気づいて回収したそうです。

帰宅後、長女にその手紙を書いた理由を聞きました。

 

私「(手紙を見せて)どうして、こういう手紙を書いたの?」

長女「A君とはんにん(犯人)ごっこをしてたの。」

私「はんにんごっこってどういう遊びなの?」

長女「はんにんを見つけて、こらしめるの」

つまり、「犯人ごっこ」という遊びは、「犯人ごっこに参加していない友だちを、勝手に犯人に見立てて、その友だちに嫌がらせをする」という遊びらしいのです。

 

自分が考えていた以上に、長女は社会性の問題から、友だちとうまくやっていけないのかもしれない、、、

と思いました。

 

その後、Sちゃんのお母さんが、長女がSちゃんを叩いたり、嫌がらせをする、ということで園に相談をしていると聞き、Sちゃんのお母さんに、長女の行いについて謝罪もしました。

正直、こんな日が来るとは想像さえしたこともなく、私自身ショックが大きかったです。

このことがあって以来、長女の就学先として、特学も視野に入れるようになりました。

 

学校見学

6月上旬に長女の指定学区の学校に見学の申込をしていました。

ところが、連絡の行き違いや、先方が日程調整に手間取り、実際に見学へ行ったのは、1カ月後の7月上旬。。。

当日は、特学と学びのサポーターが配置されている通常級を見学しました。

 

(1)特別支援学級

特学では、後日行われる宿泊学習の説明会を行っていました。

宿泊学習では、どういった交通手段で、どこに行き、どのようなことをするか、ということについて、視覚支援を使いながら、時間をかけて説明していました。

こちらの特学は全学年で約20名おり、知的学級が1クラス、情緒学級が1クラスあります。

ですが、事実上、知的学級と情緒学級は分けてはいません。

また、程度の差はあれ、実学年の教科書を使った勉強をしている子がおらず、全員実学年より遅れて学習を進めており、交流学級で授業を受けている子は一人もいないとのことでした。

これらのことを総合的に考えると、長女については、この学校の特学へ入学させることは、漠然と不適当に感じました。

 

(2)通常学級と学びのサポーター

うちの自治体では「学びのサポーター活用事業」を行っています。

市立の小中学校の通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対して、有償ボランティアである学びのサポーターが、学校生活及び学習活動を行う上で必要となる支援を行うことにより、学校における特別支援教育の充実を目指す事業です。

自治体ホームページより

上記「特別な教育的支援を必要とする児童生徒」は、主に「発達障害児」を想定しているそうです。

「学びのサポーター」(以下「サポーター」といいます。)が、現場でどのように運用されているかを知りたく、サポーターがいる通常学級を見学させて貰いました。

 

2年生の国語の授業時間でした。

サポーターは支援が必要な児童につきっきりで、担任からの指示内容を児童に伝えたり、やるべき課題の支援をしていましたが、特別特定の児童の支援員と公表している訳ではないらしく、他の児童に話しかけられれば、その児童の質問等にも答えているようでした。

 

昨今、文科省でも特別委員会を設置し、

「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育」を推進しています。

共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告) 概要:文部科学省

 インクルーシブ教育システム=障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み

 

このクラスでは、「インクルーシブ教育システム」が構築されていたのでしょうか?

後からわかったことですが、そうではなかったようです。

たまたま、このクラスに在籍する児童の母親と私が友人だったので、担任の「支援を必要とする児童」に対する扱いを聞くことができました。

(友人談)

このクラスには、支援を必要とする児童が3人いる。

3人共、サポーターの支援なしでは、学習についていくことが難しく、サポーターがいない限りは、手をあげて発表する等、主体的に授業に参加することは難しい。

この3人の児童について、担任は授業内で、除外することはないにしろ、配慮なしで(放置して)授業を進めることが多く、この状態が続くようであれば、他の児童が「差別意識」を持つことに繋がるかもしれない。

 

なお、サポーターがついていれば、それでいいという訳でもなく、長女が通う児童デイサービスのスタッフいわく、サポーターは、極端な話「近所のおじちゃん、おばちゃん」みたいな人も多く、けして支援のプロではないので、当たり外れがあるそうです。

 

 見学を終えて

見学後、何か方向性が見えたわけでもなく、特学にしろ、通常級にしろ、長女を通わせることに不安が残る結果となりました。

ですが、うちの自治体の場合、特学に就学する場合でも、指定学区の小学校に特学が設置されている場合は、原則、指定学区の小学校に入学する必要があります。

そんな行き詰まり感のなか、次は、指定学区外の特別支援教育に力を入れていることで有名な小学校に見学に行くことにしました。

この話は次回に。