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にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

私が発達障害の診断を精神科医へ依頼した顛末記

発達障害全般

 

平成27年2月、私は精神科医へ自ら発達障害の診断を依頼しました。

娘の主治医によると、昨今私のように、自分の発達障害の可能性を疑って、受診をする成人が増加傾向にあるとのことです。

今回の記事では、依頼の動機から診断に至るまでの経緯を、備忘録として記事にしたいと思います。

  

診断を依頼した動機

当時、次女にADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断が出たばかりで、私は発達障害に関する本等を読みあさっており、そこから発達障害児の親に発達障害の特性を持つ人が多いことを知りました。

既に夫については、素人判断でADHDの特性があることを確信していたものの、自分に発達障害の傾向はないと思っていました。

しかし、日を追っていろいろ知識を得るうちに、次第にASD(自閉症スペクトラム障害)の特性に関しては「ちょっと自分に当てはまるな」と思うようになりました。

今思い起こせば、発達障害(特にアスペルガー症候群)である人は、何か特別な才能がある持主と考えていたので、特別秀でた部分がない自分は違うと思っていたところもあったと思います(不適切な知識です)。

そこで、私は手始めに「アスペルガー症候群 診断チェック」を行いました。

日を変えて繰り返し、上記「診断チェック」を行いましたが、結果は100点満点中、30〜40点のことが多く、成人平均点が37点とされているところ、明らかに私に自閉傾向があると言える結果は出ませんでした。

atmentalhealth.jp

そうはあっても、私は、自身が長女の言動に過剰にイライラしたり、長女を怒るときに必要以上に長女を責めてしまうことに、理性で押さえきれない異常な何かを抱えていると不安に思うところがあり、その抱えるものが何かをはっきりさせ、善処しないと、今後継続的に長女に辛い思いをさせてしまうと考えていました。

そのため、精神科医に発達障害の可能性を前提に「私がどういう人間なのか知りたい」と診断を依頼したのです。

 

診断の判断材料となった知能検査及び心理検査

私は医師から、まず一通り検査を受けて欲しいと言われ、計6種類の検査を受けました。 

その結果が次の通りです。

 

(1)AQ−J(自閉症スペクトラム指数ー日本語版)

AQ-Jは全50問からなり、それぞれ、「そう」、「少しそう」、「少し違う」、「違う」の4つのうちから1つを選んで答えていきます。
 採点の結果、33点以上だとアスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害の可能性が高いとされます。 

AQ-J-ADHDの検査

私の場合、50問中34問が該当する結果となりました。

 

(2)CAARS(大人のADHDの自己記入式のチェックリスト)

ADHDの重症度を把握するためのものです。

全66の質問項目があり、それぞれの質問に「全く当てはまらない」から「非常にあてはまる」までの0~3の四段階で答えていきます。採点により、次の項目について、どのくらいの位置にあるのかが、折れ線グラフで視覚化されます。

A.不注意、記憶の問題

B.多動性、落ち着きの無さ

C.衝動性、情緒不安定

D.自己概念の問題

E.DSM-4 不注意型症状

F.DSM-4 多動性、衝動性型症状

G.DSM-4 総合ADHD症状

H.ADHD指標

CAARS-ADHDの検査

私の得点はADHDと言及できる数値とは開きがありました。

しかし、”上記Cの項目の点数がやや高くなっており、感情的には「怒り」につながりやすい傾向がある”という検査所見でした。

 

(3)TEG

(50の質問により、被験者のパーソナリティーをCP(父親的)、NP(母親的)、A(大人的)、FC(自由な子供)、AC(従順な子供)の5つ要素に分け, 其のバランスと得点により性格傾向を捉える検査)

A(大人的特性)とCP(父親的特性)の得点が高く、NP(母親的特性)とFCP(自由な子どもの特性)の得点が低いプロフィールとなった。

客観的、現実的な判断で行動したり、選択したりすることが多く、「感じるままに」「気持ちが先行して」という感情的、感覚的な行動は少ない傾向にある。

との検査所見でしたが、「はい、そうですね」という感じ。

でも、父親的とか母親的といった表現の仕方には疑問を感じます。

 

(5)PFスタディ 

(24枚の2人のコミュニケーション場面の図版より、フラストレーションに、どの様に対応するかを精査する事で、被験者の自我防衛水準を測り、独自の人格を判定する検査)

基本的には一般常識とされる対応。

傾向としては問題解決型思考が強い様子。

できるだけ早い段階で解決の見通しをつけておきたい傾向。

場合によっては周囲からは、少し余裕がないように見られてしまう可能性がある。

との検査所見でしたが、これも「まさに!」という感じ。

私は、自分のことを「瞬発力がある」と表現することがありますが、一刻も早く問題・疑問を解決したく素早く行動する特性は「問題解決型思考」に由来するのでしょう。

 

(6)HTP

(『家屋』・『樹木』・『人物』を描いてもらい、パーソナリティーの一側面を知るための検査)

教示に忠実に描かれている。

筆圧や描線には安定感があり、精神的エネルギーは保たれている。

あまり感情を絡めたりすることなく、必要な物を必要な分だけ表現している印象。

との検査所見でした。

この検査は、

パーソナリティの特性、欲求、葛藤、心的外傷、適応状態を知ることが可能

HTPテスト (The House-Tree-Person Test) | 臨床心理学用語の樹形図

 とあり、私の場合はこの検査から私のパーソナリティーの多くを知ることはできなかったように感じます。

絵を描くときは、所見通り”必要な物を必要な分だけ最低限の時間で表現”することに集中していたに過ぎなかったので。

 

(7)WAISーⅢ(ウェイス・スリー、正式名称:ウェクスラー成人知能検査)

 (言語性IQ(VIQ)、動作性IQ(PIQ)、全検査IQ(FIQ)の3つのIQの外、「言語理解(VC)」、「知覚統合(PO)」、「作動記憶(WM)」、「処理速度(PS)」の4つの群指数を測定し、多面的な把握や解釈が可能な検査)

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個別式検査 WAIS-III 知能検査|日本文化科学社

 ◎全体的な知的発達水準

 全体的な知的発達水準は、同年齢集団と比べて平均の範囲内にあると推定される。

しかし、指標特典間に差がみられており、能力の幅は幅を持って捉える必要あり。

◎認知面や処理プロセスなどの特徴

 4つの指標(言語理解・知覚統合・作動記憶・処理速度)を比較すると、処理速度が高い傾向にあり、また、作動記憶が他の指標より低い傾向にある。

被験者個人内においては、手早く効率的に作業をこなしていく力に長けている。

順序や手順が明確な作業はより、能力を発揮する。

一方、聴覚情報を正確に保持、思考して適切な処理を行うことは苦手な傾向あり。

との検査所見でした。

しかし、この検査結果の最大の特徴は、上記検査結果所見には記載されていない、上図「WAIS-Ⅲ成人知能検査の問題構成」に示される各検査結果にあります。

私の場合「11.理解」の得点が一番高く、「1.完成」及び「14.組合せ」が一番低かったのですが、この得点の開きが10点ありました。

医師によると、定型発達者(身体や精神の障害で発達に遅れが出ることなく、成人した人間)の場合、各検査の数値の開きが4の範囲で治まる人が多数だそうです。

そのため、この得点の開きが私の診断の判断材料とされたようです。

 

医師へ提出した資料

医師へは、次の事項を詳細にまとめたものを提出しました。

発達障害の特性と関わりがありそうな私の「感覚」「認知」「性格の傾向」 について

②小学生から20代まで抱えていた困り感・生き辛さについて

③現在の困り感について

この他に、小・中学校時代の通信簿も提出しました。

通信簿の担任が記載する通信欄等から私の幼い頃の様子を知るために求められたもので、診断の判断材料に使われたようです。

 

DSMー5と発達障害の診断について

 本題から少し離れます。

先日医師(娘らの主治医)から発達障害の診断方法について話を聞きました。

その概要は次の通りです。

発達障害の診断については、一般的に診断にぶれがでないようDSMー5(米国精神医学会(APA)の精神疾患の診断基準)が利用されている。

但し、同診断基準は「最低基準」であるため、医師の解釈の違いにより、診断名が変わることもあり得る。 

 

・「DSMー5」は”エピソード診断”であるため、大人の場合は「生育歴」を確認することが重要。

この診断に、知能検査・心理検査は必須ではないが、例えばADHD(注意欠陥・多動性障害)かASD(自閉症スペクトラム)の診断で迷う時の補助的判断材料として使うことができる。

 

・発達検査・知能検査・心理検査等の結果は、診断の外、被検査者が自身の特性を把握し、今後の対策に役立てたり、被検査者の担当教諭等に特性を説明する際にも有用なため、当院では診断の際に上記検査をお願いすることが多い。

 

DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

 

 知能検査等が診断に必須ではないと知り、6つの検査を受けた私としては「そうだったの!」とは思いました。

なんせ、これらの検査をするのに、複数回病院へ通うことが必要でしたし、検査料は勿論無料ではありませんから...。

とは言っても、医師の私の診断に関する考えを全て確認した訳ではありませんし、診断を「今後に役立だてる」という点では、私の依頼通りです。

そして、上記の検査結果から「私がどういう人間なのか」をある程度明らかにでき、実生活の対策に利用することもできています。

 

そして、診断 

いざ、診断を聞くときは、かなりドキドキしました。

パンドラの箱を開けるような気分というか。

 

医師からは開口一番「結論から言うと、診断は出ません。」と言われました。

何故なら、ASD(自閉症スペクトラム障害)の診断基準中、

「症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。」との要件を満たしていないからとのことでした。

もしかしたら、一番生き難さを抱えていた20代の頃だと診断が出たかもしれません。

しかし、確かに今は、社会生活上「重大な障害」はなく、今が一番、これまでの人生で平穏だと言っても過言ではありません。

そうは言っても、この要件を満たしていないので、診断は出ないということは、この要件を満たせば、ASDの診断が出ると解釈すれば、かなり複雑な思いにはなりました。

自閉症スペクトラム(DSM-5の診断基準)

ninono0412.hatenablog.com

 

おわりに

以上が、私の発達障害診断の経緯ですが、勿論、依頼する医師や依頼の方法等が異なれば、同じような経緯を辿ることはないと思います。

そのため、もし、発達障害の診断を精神科へ依頼しようと考えている方がおられる場合は、私の例はほんの一例として考えて下さい。

私の場合は、冒頭にも書いたように「私がどういう人間なのか知りたい」と診断を依頼しており、「〜について困っている」と精神科を受診した訳ではないので、そこに違いが出てくるように思います。

また、詳しいことは知りませんが、病院によって、できる検査とできない検査があるらしく、その辺もご注意頂きたく思います。