にののシステム科学講座

発達障害、家族、生活のあれやこれやをテーマにレポートします。

夫のマザコン疑惑〜夫が「家族」を自分の家族と意識できるまで

夫と結婚して11年目になりました。

時が経つのは早いものです。

そして、実感するのは新婚当初に比べ喧嘩が減ったということです。

これは、今年に入って私とそして夫が、それぞれの発達凸凹の特性を理解し、夫婦双方がトラブルを起こしがちな行動、思考を認知したということが大きいのですが、どうやら違うところにも原因があるのではないかと思い至りました。

今回は、夫婦喧嘩が減ったもう一つ理由についての話です。

 

2週間に一度は実両親に会いたがる夫

夫の両親の自宅は私たちの自宅から車で40分程度のところにあり、日帰りで容易に行ける距離にあります。

結婚当初〜9年目位まで、夫は頻繁に実両親に会う機会を設けようとしました。

また、ドライブや旅行へ行っても、すぐに両親にお土産を買いたがり、それを口実に実家へ帰ろうとしました。

特に、新婚当初は子どもまだできておらず、せっかくの休日を潰して、なぜそうも頻繁に夫が義両親に会う必要があるのか疑問に思っていました。

「夫ってマザコン?」

と何度も頭に浮かびました。

でも、何か違うのです。

精神的に母親に依存し、執着しているようでもないし、母親にだけ会いたいというのではなく、どちらかと言えば、実家の両親・兄全員に会いたがっているようでした。

また、私が「(義実家へ)行けない」と言うと、夫一人で義実家へ行くということまではしませんでした。

けれども、私が「どうして、そんなに親に会いたいの?」と聞くと

「だって、2週間に一度位は実家に帰るのが普通でしょ?」

とまじめな顔で夫は言うのです。

こんな調子で、夫が実家に行きたい理由もよくわからず、私は休みの度に夫が実家へ行くと言い出さないかと毎回びくびくしました。

義両親は一般に特に問題がある人たちではないのですが、休みの度に何時間も義両親と過ごすよりは、私はもっと別のことに時間を使いたかったので。

 

夫が実家に行きたい・両親に会いたいと頻繁に言わなくなったのは、結婚9年目となり、次女が2歳になった頃です。

次女は多動で、長女も言い出したら聞かないことが多く、子ども二人連れて出かけることはとても大変で、また、義両親がうちに来てくれたとしても、そのもてなしをするのが私の役目だったので、ほっとしました。

 

夫が実家に帰りたいと言わなくなった理由

先日、「旦那さんはアスペルガー」を読みました。

この本には旦那さん(アキラさん)のことについてこう書いていました。

父親になっても

意識はいつまでも

実家のアキラさん...

旦那さんはアスペルガー ウチのパパってなんかヘン!?

旦那さんはアスペルガー ウチのパパってなんかヘン!?

 

 これを読んで「はっ」としました。

ああ、夫は、結婚してからしばらくの間、意識はまだ、実家の家族に帰属していたんだと。

当然、夫の実生活は実家から離れていたけれども、根本的な帰属意識は、実家から離れておらず、本能的に自分にとって快適な実家に帰るよう、愛着のある実両親に会うように行動や言動に表出してしまっていたのではないかと思います。

こう考えるといろんなことに、合点がいくようになりました。

長い間、夫は、実生活における行動様式等を実家で暮らしていた時のやり方・習慣から変えられないようでした。

それでは、同居者である私が不愉快に思ったり、不便に感じることもあったので、その都度伝え、改善を求めてきました。

その時、夫は、その私の要望について大抵は快諾するのです。

けれども、行動に変化は現れない,,,。

この繰り返しが多く、酷い時には喧嘩に発展しました。

こういった喧嘩も本当に多かったですね。

ところが、今ふと気づくと、夫は私や子どもとの生活になじんでいるのです。

 今では親に会いたいと言い出すことは、めっきり減りました。別人のようです。

 

発達障害特性〜行動の強いこだわり

一般にASD(自閉症スペクトラム)の特性として、執着、反復行動、変化への抵抗があげられます。

夫の場合、実家での行動様式等に執着していたとまでは言いませんが、これまで慣れ親しんだ行動様式や習慣を実情に合うように変化させることが生来的にできず、夫が変化するには、自然と体が覚える位の時間が必要だったようです(夫はASDとの診断は受けていませんがその傾向は随所にみられます)。

また、夫の場合、両親との関係は極めて良好ですから、その居心地の良い環境をどうしても本能的に求めてしまったのかもしれません。

けれども、娘が二人でき、夫はこの二人に強い愛情及び愛着があるようですから、この二人の存在がようやく、夫の意識を実家から引き離し、夫にとって一番大切で、快適な場所が自宅と変化させることができたのかなと思います。

 

おわりに 

夫の意識が実家から離れ、自宅へ移行したことにより、私は以前と比べ生活がしやすくなりました。

当然です。今まで分散していた帰属意識や生活習慣等が自宅(私、子ども達)に適合した訳ですから。

また、家事等生活に関する雑務も10年前に比べれば、格段にできることが増え、一回一回説明しなくてもできることが増えました。

これに付随して、夫婦喧嘩も減りました。

 

同じ事でも、1日で覚えることができる人もいれば、10年もかかる人もいます。

10年かかるのが夫ですから、我が家を円満に保つには夫がそういう特性の人間と理解して、生活をしていく必要があります。

そして、決定的に夫婦仲が破局する前に、夫の意識が私たち家族へ向かず、私たち家族の生活がうまく回らなかったのは、夫が家族を大切にしていなかった訳ではなく、そういう特性(発達凸凹)があるからと気づけて良かったなと心から思う今日この頃です。